シャボン玉

厚木と武道館のほにゃららを聞き比べてみる。久々に長いよ(笑)
これ、面白いぐらいはっきりと違うね。何ていうか二人の「シャボン玉の世界」の浸透度が断然深くなってる。
特に吉澤さんはすげーな、まさにビフォーアフターだよ。一つ一つの言葉のニュアンスであるとか、曲全体に対する読み込み度の差がもろ出てる。
厚木のは何だろうな、まだおっかなびっくりで、曲を楽譜のままになぞってる感じかな。強く歌わなきゃって意識が強くて、まだ力押しな部分がある*1。しかも、曲全体の流れが読めてないから、抑揚も少なくて、やや単調なんだよね。
いや、まあビジュアル的な部分でそれを補って余りあるインパクトだったろうから、目立たなかったとは思うけど、まだまだ吉澤ひとみの色ではないんだよな。
何つうかね、自分が思う吉澤さんの歌へのアプローチって、まずその曲の世界に対するシンパシーとかリスペクトって言うのが根っこにあって、その上で「その世界に置かれた自分」てのを、“想像”して(もしくは“創造”して)歌ってる感じなんだよね。
だから、当然、その世界に対する親和性が高い程、早く自分の色に持っていけるんだけど、シャボンはちと勝手が違ったみたい。
あれだ、基本、こういう世界は吉澤さんにはどギツ過ぎるんだろうな。こう、言葉と言葉の行間を読んで、ふわっと浮かび上がる淡い世界をすくい取るようにして歌う吉澤さんにとって、あまりに直截的と言うか。ちょっと乱暴過ぎると言うかね。
まあさ、これがカラオケとかなら、単純に感情をぶつけて、ガンガン押して、すっとして終りで良いんだろうけど、本式に歌うとなると、引かずにはいられないって感じなんだよな。
だから、吉澤さんには珍しく、吉澤さんがその世界に居ることの違和感を感じずに居られないんだよ。歌ってる方も、聞いてる方も。
で、そこで登場するのが、亀ちゃんですよ。いやー、何かね、この二人がこんなにぴたっとハマるとは思ってもみなかったな。
何かさ、亀ちゃんの吉澤さんに対する絶対的な信頼感?ってのがまず感じられるんだよな。自分が力一杯ぶつかっても吉澤さんならきっと受け止めてくれる、みたいなさ。
実際、全力でぶつかってるし。あんな激しい亀ちゃんを初めて見たよ。この子はこういう表現も出来る子なんだってびっくりした。歌っちゃいないけど、身体が表情がものすごく語ってるんだよな。
んで、それを受け止めた吉澤さんとしては、この曲に対するわだかまりを吹っ切ったんじゃないかな。
武道館じゃ、ちゃんと歌に向き合ってる。ある意味、だからこのシャボンに関しては、歌の世界そのものに対するシンパシーというよりは、それを歌う亀ちゃんに対するシンパシーな気がするな。これ、相方が亀ちゃん以外なら、もっと違うシャボンになってたと思う。
それくらい、武道館のシャボンが凄いかった。ほにゃららだけ聞いても伝わって来るもん。もう、出だしの愛する人はあなただけ〜♪からして違うからね。
声がちゃんと甘いの(笑)無理して出してないんだね、こう、自分のニュアンスで出してる。厚木のがやけっぱちと言おうか、どっか思いも寄らない事態に苛立つ感じなら、武道館のは分かってるけどどうしようもない、やりきれなさが感じられる。よりウェットなんだな。
サビの泣いてすむなら〜♪辺りも怒ってるっていうよりむしろ、切ないの。振り回されて悔しいのも勿論あるんだろうけど、それよりも感じるのは、恋の如何ともし難さなんだよな。
いやー、もうかなり「吉澤ひとみの世界」だよね。あの曲から、ここまで持ってきちゃうんだから、さすがとしか言いようがないわ(笑)
しかも、これ多分、テクニックも上がってる。厚木では結構ダンスの激しさから息こぼしちゃって、最後まできっちり歌えてないんだけども、武道館では腹でちゃんと支えられるようになって、高音がきれいに伸びた上に、細かい表情までつけられるようになってる。
まあ、それもこれも、吉澤さん自身が「シャボン玉の世界」ってのをしっかり掴んで、自分のものにしたから出来たことなんだろうけどね。
また、情念の世界をひたすらどろどろと踊る亀ちゃんとのコントラストが面白いね。二人とも役者やわ、全く違う世界観な筈なのに、同じ一つの世界を作っちゃってる。普通にすげーって(笑)
更におそろしいことに、これ、回を追うごとに全然違う曲に成っていくと思うよ。まだ、完成型じゃない筈。良くなるか、悪くなるか分からんけど、変化が楽しみって点では今回のSLじゃ一番だな。
とにかくね、この曲+二人の組み合わせを考えた人、GJ!正味の話、ある種賭けだったところもあるんだろうけど、賭けに勝ったんじゃね?二人とも最初に考えられたのと、全く違う仕上がりになってると思うし。
何だかんだ言って、この二人、今年も一番チャレンジさせてもらってるね。歌ってる曲の系統、毎回違うし。わざとハードルの高そうなとこ選んでもらってるし。もっそ勉強になってると思う。んで、その締めくくりがこれって、中々いい一年だよ(笑)
シングルでの扱いは相変わらずだけど、現場方面では明らかにこの二人+小春ちゃん辺りを面白がってる奴が居るな(笑)いいことだと思うよ(自分的にw)
まあ、今度の大阪、夜は一般で神席なんで弾けまくり、夜はファミリーでまったりとその辺を観察しようかな。
あ、全然関係ないけど、藤本さんのメロディーズも近距離でうっとりしたいかもね(笑)←何ヲタだ、お前は!

*1:これがミューの前なら押し切れないんだろうけど、今はそれがなまじ出来るから質が悪い(笑)吉澤さんに限ってはそういう“強さ”は裏目に出ると思うんだけどな。