面影

自分は吉澤さんと言うか、言うなれば四期からこちらの世界にハマったものなので、今回のことは心の中の柔らかい場所を抉られたようなショックを受けている。なんて言うのか、今までは思い出せばほっこりと幸せな気分になれた場所が、ごっそりと持ってかれた気分。
いつだって、吉澤さんにまとわりつくようにくっついてたあの子の姿を思い出す。そして、いつもそこにあったもう二つの顔も。
これからも、彼女たちの顔を見るたび、あの子を思い出すんだろうか。吉澤さんの、石川さんの、のんちゃんの隣に、消えない空席を思ってしまうんだろうか。
少し時間が経った今、やったことの悪さより、やれたかも知れないことへの口惜しさが募る。
自分はあの子の歌が好きだった。あの子も歌うことは好きだったのではないのか?
何が彼女の心を折ったのかは分からないけど、それだけが憎いね。
今はせめて、あの子と一番時間を共有したであろう彼女たちの心に安らぎあれ、と祈るだけ。
春は別れの季節と言うけど、誰にも見送られない別れは、寂し過ぎる。