夏休みの宿題

一昨日言ってた奴。書いてみたらウルトラ長くなったので、小出しで。今日は主要キャストから。
あ、あくまで私感なので、よろしく。
高橋さん:今まで見た高橋さんの中で一番しっくり来た高橋さんだった。何かね、この人の場合、やたら基本スキルは高いんだけど、それを上手く使って自分を表現出来てないなあという感じがずっとあったのよ。読み込みが甘いっつうか、焦点がズレてるっつうかね。ああ、そこはサラッと歌った方が切ないのに、とか、ああ、そこはもっと溜めて表現した方が、ぐっと来るのにとか、見てて何だか歯がゆかったのね。それが今回初めてぴたっと来た。
多分、準備期間が長くとれたから、演出する側と自分の役の解釈をすり合わせることが出来たんだろうな。高橋さんて、歌でも役でも自分のものにするのに時間がかかるタイプなんかも知れん。
つうか、自分なりの視点というのがあやふやなのかな。物語の中の人物なのか、傍観者なのか、立ち位置が今イチ決まってないから、見てて居心地が悪いのか。
今回は主役っつうことで、その時点で選択肢ないからな。視点が定まってぴたっと嵌ったんかも知れん。
これを期に自分の視点っていうのを確立してくれたんなら嬉しいんだけどなあ。そのためにも、今回木村さんとぶつかったことで得たであろう、「外からの視線」というものに、もう少し敏感になってくれてると良いなあ。

藤本さん:圧巻だったね。魔女の役ではあったけど、どこを切っても藤本さんだった。あの小さな身体がどれだけ大きく見えたことか。あの一瞬にして劇場を自分の支配下に置く力は流石です。
藤本さんは高橋さんとは逆で、役というかその世界を掴むのが早いんだと思う。そして、ちょっとしたしぐさ一つで、物語の持つニュアンスだとかムードを伝えるのが抜群に上手い。また、声が強いから物語の世界に負けることなく、一人でそこに立っていることが出来る。
いやあ、今回木村さんが上手いなあと思ったのは、藤本さんの扱いだったんだよね。上のように存在感の強いこの人を生かすには真ん中に据えるか、外の世界に置くかしかないんだけど、今回の原作じゃ真ん中に据えるっていうのは難しい。となると、あの魔女の役しか考えられないんだよなあ。
つうか、藤本さんて基本、語り部であって主役の人ではないと私は思っているので、芯からの意味で役に合ってたと思う。
あ、それと藤本さんの弱点として、天性の人ゆえ気が乗ってる時とそうでもない時では、出来が随分違ってしまう。だから、短期集中型のあの役でぴったりだったと思うな。
個人的には、今回ミュージカル風の歌い方に一番悩んだんじゃないかと思う人。んで、結果的には、自分流に磨きをかけることで対応したところが、また藤本さんらしいやね。

吉澤さん:こちらは役の配分が絶妙だったな。吉澤さん本来が持ってるコミカルな部分を出しつつも、悪役としてのエグさも頑張って出してたと思う。
つうか、多分、あの役にあれだけの味を持たせられたのは、吉澤さんの役に対するこだわりがあったからだとは思うんだよね。何つうんだろ、この人の場合、コントの場合でもそうだけど、その役をとことん味わいつくしてやろうみたいなとこがあるじゃない。今回も毎回細かく演技を変えてて、その変化を見てるだけでも楽しかったな。芝居っ気があるつうの?舞台に上がった時の瞬発力が凄い。アドリブが利き過ぎる(笑)
後ね、自分の演技以外でも今回は頑張ってて、ある意味この芝居のペースを作ってたのは、吉澤を始め、小春・まこを含む3馬鹿だったんだよね。こうシリアスなシーンの後に必ず出て来てムードを変えたり、重要なシーンの引き金になる台詞を吐いたりしてね、楽団で言うところの、コンサートマスターみたいな感じ。
これも木村さんは良く見てるなと思ったよ。娘。って気持ち一杯一杯になりがちな子が多いんだけど、吉澤さんて渦中にいても割と自分がいる世界を広く見渡せる人だからな。ペースメーカーには持ってこいというか。だから、藤本さんとはまた違った意味で、この役は吉澤さんしか出来なかったと思う。
ただ、融通がきいちゃう分、無理がかかったんかな、後半声辛そうだったなあ。見てる方が心配になるぐらいだった。
それでも最終日、特別公演であの「裏切られた〜」のところをノンブレスで歌い切っちまったのは流石。この公演の間にもちょっとづつ進化してんだよなあ。やっぱ面白い人だよ。

春ちゃん:今回一番のサプライズかも知れない。こちらも芝居っ気タップリ。いい間なんだよなあ。ありゃ声優のお仕事が利いてるね。芝居に入ってく間も良いけど、相手と呼吸を合わせる間も良い。今回娘。の中じゃ一番相手の間を読めてたかも知れないな(笑)笑いを狙って取るってのは難しいもん。
そんでまた、みきよしが好きっていうだけはあって、役との距離の取り方が上手いのな。何と言うのか、馬鹿のときも、利口のときも、確かに小春ちゃんの中にあるものなんだろうけど、小春ちゃん自身ではない。ちゃんと大臣の息子を演じてるんだよなあ。
早くも自分の視点を持ちつつあると言うか。それを自覚しつつある感じ。
しかも、周りを見る余裕も結構あったりして(笑)例えば前も書いたけど、スポットライトを浴びてないときでもしっかり自分の役を意識していたのは、大体吉澤と小春ちゃん、まこだったな。
ああいうこだわりは持ち続けて欲しいね。舞台の上じゃ見てないと思ってても、見てる人はいるもんだからさ。
若干、疲れて来て滑舌の悪い回とかもあったようだけど、発声自体は悪くない。声の通りも良いしね。身体が大人に成っていけば、その辺はおっつけ良くなると思う。
まあ、あと必要なのは時間かな。もの凄い勢いで成長してる小春ちゃんだけど、その年にならないと分からないってこともあるし。出来ることなら、じっくりぐつぐつ煮込んで欲しいけど、難しいかな。とにかく、曲がらず真っ直ぐ育ってほしいもんです、はい。

って、なげーよ、俺!まだ五人しか書いてないじゃないか!あ、明日は3人フランツと美勇伝について書きたいなあ、と(あくまで希望)。
ま、ゆっくり行きます。己の気のすむまで(爆)